東武鉄道の「フラッグシップ特急」
【2022年7月15日(金)追記】東武鉄道が特急「スペーシア」の新型車両「N100系」について、その車両愛称、料金、運転開始日などを発表しました。詳細は次のページをご覧ください。
東京と栃木県の日光・鬼怒川エリアを結ぶ特急車両「スペーシア」に新型車両を導入すると、2021年11月11日(木)、東武鉄道が発表しました。
現在の特急「スペーシア」車両(100系)より上質な、東武鉄道のひとつのシンボルになる「フラッグシップ特急」として製作し、日光・鬼怒川エリアの観光需要喚起をはかるといいます。
新型車両はどんな名前に?
車両形式名
東武鉄道の特急「スペーシア」新型車両は、「N100系」という車両形式名になります。「100系」という車両形式名を持つ現在の特急「スペーシア」車両に対し、「新しい100系」と考えられそうです。
この特急「スペーシア」新型車両(N100系)を製造するのは、日立製作所。その工場は山口県下松市にあるため、JR山陽本線、東海道本線などを経由して東武鉄道へN100系が運ばれてくる姿が、近い将来、見られるかもしれません。
車両愛称名
「スペーシア」という名前は、現在の特急「スペーシア」車両(100系)が1990年(平成2年)にデビューするとき、その100系車両の愛称として、一般公募を行って命名されたものです。
このように「スペーシア」という愛称は元々、現在の特急「スペーシア」車両(100系)の愛称として生まれたからか、東武鉄道は特急「スペーシア」新型車両(N100系)の車両愛称名については、「未定」としています。
ただ東武鉄道は、特急「スペーシア」新型車両(N100系)の導入にあたって、現在の特急「スペーシア」車両(100系)が築いてきた伝統や認知度、イメージを維持、継承しながら、としています。
そのため特急「スペーシア」新型車両(N100系)は、何らかの形で、「スペーシア」の愛称を現在の特急「スペーシア」車両(100系)から受け継ぐ可能性もありそうです。
東武 車両愛称候補を発表!
東武鉄道が2022年6月1日(水)、この特急「スペーシア」新型車両(N100系)について、「みんなで新型特急スペーシアの愛称を予想しよう!キャンペーン」の実施を発表。あわせて、候補になっている4種類の愛称を発表しました。
「プレミアム」か、「グラン」か、「ルクス」か、「X」か、はたしてどれになるのでしょうか。詳しくは次のページをご覧ください。
新型車両のデビューはいつ?
特急「スペーシア」新型車両(N100系)のデビュー時期について、東武鉄道は「2023年(予定)」とのみ発表しています。
現在の特急「スペーシア」車両(100系)は、1990年(平成2年)6月1日(金)、当時における東武鉄道の新たな「フラッグシップ特急」として運転を開始しました。それから33年を経ての、新たな「フラッグシップ特急」登場になります。
新型車両の運転区間は?
東武鉄道は、特急「スペーシア」新型車両(N100系)の運転区間について、東武スカイツリーライン(伊勢崎線)、日光線、鬼怒川線の浅草~東武日光間、浅草~鬼怒川温泉間と発表しています。走行距離は、それぞれ135.5km、140.8kmです。
JR線乗り入れは?
東武鉄道の特急「スペーシア」車両(100系)は現在、栗橋駅からJR線に乗り入れ、新宿駅発着などでも運転されています。
この「JR線乗り入れ」を、特急「スペーシア」新型車両(N100系)でも行うかどうかについて、東武鉄道は特に発表していません。
新型車両のコンセプトは?
「Connect & Updatable~その人、その時と、つながり続けるスペーシア~」が、特急「スペーシア」新型車両(N100系)のコンセプト。
東武鉄道によると、「鉄路がつなぐ物理的なつながりに留まらず、様々な情報やサービスを更新し提供することで、車両に乗り込んだ瞬間から、お客様それぞれにとって『自分だけの最適な日光・鬼怒川エリア』へとつながることができ、幾度も同エリアを訪れたくなる特急を目指します」とのことです。
また、車両デザインについて東武鉄道は「現行スペーシアのフォルムを現代に進化させ、デザインに取り入れました。カラーリングは日光東照宮陽明門・唐門・御本社に塗られた『胡粉(ごふん)』の白を彷彿とさせる高貴な白をイメージし、窓枠は鹿沼に伝わる組子や、竹編み細工といった江戸の手仕事を思わせる丁寧につくられた工芸品のような佇まいで、大切なものを包み込んでいるかのような期待感を演出しています」としています。
新型車両はどんな編成に?
東武鉄道の特急「スペーシア」新型車両(N100系)は、現在の特急「スペーシア」車両(100系)と同じ6両編成。合計24両が導入される予定のため、4編成が用意される、ということになります。
ちなみに現在の特急「スペーシア」車両(100系)は、9編成54両が製造されました。そのため、現在の特急「スペーシア」車両(100系)がそっくりそのまま、特急「スペーシア」新型車両(N100系)に置き換わる、というわけではなさそうです。
新型車両はどんな座席がある?
東武鉄道の特急「スペーシア」新型車両(N100系)は、座席のバリエーションが6種類もあり、席数は212。現在の特急「スペーシア」車両(100系)は、同じ6両編成で288席のため、特急「スペーシア」新型車両(N100)系は、より多彩でゆったりした空間になりそうです。
コックピットスイート
現在の特急「スペーシア」車両(100系)と同様に、浅草駅側の先頭車6号車はコンパートメントルーム(個室)車両になります。
その6号車に設けられる、特急「スペーシア」新型車両(N100系)で最上級のシートが「コックピットスイート」です。
東武鉄道によると「前方及び側面の窓からの展望を広く見渡しながら、贅沢な旅のひと時をお楽しみいただけます。また、個室内は11平方メートルと私鉄特急最大で、車両幅いっぱいの広々とした空間にソファーを配置し最大7名までご利用いただけます。デザインはプライベートジェットをイメージした『走るスイートルーム』がコンセプトであり、モダンでありながら温もりを感じられる寛ぎの空間を提供します。飾り照明は、日光東照宮の陽明門の柱に刻まれた『グリ紋』を想起させるデザインとして、車内から日光らしさを演出します」とのこと。
コンパートメント
特急「スペーシア」新型車両(N100系)の6号車に設けられる、もうひとつの個室です。
東武鉄道によると「4名がゆとりをもって様々な座り方ができるコの字型ソファーと可変テーブルを採用し、ご乗車されるお客様の構成や目的、その時の気分に合わせてテーブルのレイアウトを変更させることで、それぞれのお客様に最適な空間を提供します」とのこと。
コックピットラウンジ
特急「スペーシア」新型車両(N100系)の東武日光駅、鬼怒川温泉駅側の先頭車1号車に用意される設備です。カフェカウンターもあり、乗客が利用できるフリースペースとして使われる可能性もあるのでしょうか。
東武鉄道によると「“時を超えるラウンジ”をコンセプトとして、現存する日本最古のリゾートホテルとして2023年で150周年を迎える日光金谷ホテルや、かつて各国の外交官たちが避暑を楽しんだ日光に残る大使館別荘をモチーフに、気品高く落ち着きのある空間を提供します。コックピットスイートと同様に展望が楽しめるほか、五感で日光を感じ、旅への期待感や余韻を醸成するカフェカウンターも併設します。4人、2人、1人掛けの各種ソファーを用意することで様々なグループ形態に合わせ、旅行プランや旅の思い出話に会話が弾むカフェラウンジのような空間を提供します」とのこと。
プレミアムシート
特急「スペーシア」新型車両(N100系)の2号車に設けられる座席です。
東武鉄道によると「従来特急より広い2+1列配置、シートピッチも現行のスペーシアより広い120cmとし、当社初の電動リクライニングやバックシェル構造により快適性・プライベート性を向上させることで、ラグジュアリーな移動空間を提供します。また、大型インアームテーブルや読書灯を搭載し、観光・ビジネス利用ともにワンランク上の乗車感を提供します」とのこと。
スタンダードシート
特急「スペーシア」新型車両(N100系)の3号車、4号車、5号車に設けられる、最もベーシックな座席です。
東武鉄道によると「シートピッチは現スペーシアと同じ110cmでゆとりをもたせ、観光やビジネス利用ともにご利用いただけます」とのこと。
ボックスシート
特急「スペーシア」新型車両(N100系)の5号車に設けられる座席です。
東武鉄道によると「向かい合う2シートによる半個室でプライベート性を高めるとともにシートの横幅約80cmとしたゆとりあるシートです。1シートをおひとりで広々とご利用いただけます」とのこと。
飲食設備・車内販売は?
カフェカウンター
特急「スペーシア」新型車両(N100系)の1号車に、カフェカウンターが用意されます。
東武鉄道によると「『自分だけの最適な日光・鬼怒川エリア』と出会える場となるため、新しいものを積極的に取り入れ、ここでしか出会えない五感で楽しむ商品等を提供します」とのこと。
新型車両の運転日・時刻表は?
特急「スペーシア」新型車両(N100系)について、東武鉄道はまだ具体的な運転日、時刻表を発表していませんが、浅草駅と東武日光駅、鬼怒川温泉駅を結ぶ特急列車のうちいくつかが、この特急「スペーシア」新型車両(N100系)での運転になる形などが考えられます。
なお、現在の特急「スペーシア」車両(100系)は、浅草~東武日光間を約1時間50分、浅草~鬼怒川温泉間を約2時間で結びます。
おすすめツアー(旅行商品)
デビュー時期が近づいてきたころ、クラブツーリズム「鉄道の旅特集」、東武トップツアーズなどで発売されそうです。限定プランやお得なプランが用意されている場合もあるため、要チェックです。
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きっぷの予約方法は?
特急「スペーシア」新型車両(N100系)のきっぷ予約方法について、東武鉄道から特に発表はありません。ただ観光利用のほか、ビジネス利用も考えられている列車のため、現在の特急「スペーシア」車両(100系)と同様に、東武鉄道の駅やネット予約サービスなどで、きっぷを予約できそうです。
なお、東武鉄道の特急列車は全車指定席。自由席はありません。
新型車両の料金は?
特急「スペーシア」新型車両(N100系)の料金について、東武鉄道はまだ発表していません。
現在の特急「スペーシア」車両(100系)の料金とくらべ、特急「スペーシア」新型車両(N100系)では、「スタンダードシート」利用だと同額で、それ以外の座席を利用する場合は設備に応じた追加料金が必要になる形や、新型車両はどの座席を利用しても設備に応じた特別な料金が必要になる形、新型車両用の特急料金が設定される形、などが考えられます。
ちなみに、現在の特急「スペーシア」車両(100系)は平日と土休日で料金が異なり、浅草~東武日光間で利用した場合、大人1名分の通常料金は、平日だと2750円、土休日だと2860円です。
また、現在の特急「スペーシア」車両(100系)で個室を利用する場合、別に平日3150円、土休日3770円の個室料金が必要。この個室は4名用ながら1名でも使えますが、特急「スペーシア」新型車両(N100系)の個室ではどうなるでしょうか。