北海道から九州まで日本各地を走る観光列車のうち、「SLの旅(蒸気機関車の旅)」を楽しめる列車をまとめました。ちなみに「SL」は、英語の「Steam(蒸気)Locomotive(機関車)」を略した表現です。
ここでとりあげる観光列車のなかには、SLではなく、それに似せたDL(ディーゼル機関車)を使う「SL風列車」も一部にあります(「房総里山トロッコ」「坊っちゃん列車」)。
一度は消えた日本の蒸気機関車
日本では1975年(昭和50年)の12月14日、国鉄室蘭本線の室蘭駅(北海道室蘭市)から岩見沢駅(北海道岩見沢市)へ向かった225列車を最後に、SLがけん引する定期旅客列車は姿を消しました。
しかし同時期、消えゆくSLを動く状態で保存しよう(動態保存)、という動きが起こります。
1976年(昭和51年)年7月9日、大井川鐵道が本格的なSLの復活運転を開始(「SLかわね路号」)。1979年(昭和54年)8月1日には国鉄も、山口線で本格的なSLの復活運転を始めました(「SLやまぐち号」)。
その後、国鉄の分割民営化によりJRが誕生していくなか、鉄道会社のひとつのシンボルとして、観光の目玉として、SLの復活が各地に広がっていきました。
ちなみに、SLによる最後の定期旅客列車(225列車)をけん引したC57形135号機はその後、東京・秋葉原の「交通博物館」で保存されました。2006年(平成18年)に同館が閉館したのちは、さいたま市の「鉄道博物館」で保存されています。
SL列車の運転日・予約方法
SL列車の運転日は、東武鉄道の「SL大樹」、大井川鐵道の「SLかわね路号」といったほぼ通年運行の場合もあれば、JR北海道の「SL冬の湿原号」のように季節限定運行の場合もあります。多く見られるのは、3月頃から12月頃まで運行するパターンのSL列車です。
また全てのSL列車が、乗車にあたって事前予約が必要です(SL風列車の「坊っちゃん列車」は予約不要)。予約は、各鉄道会社の駅窓口などのほか、ネットでも可能なようにされています。詳しい予約方法や料金などは、各列車のページをご覧ください。
SL列車の乗り方・楽しみ方
SL列車の魅力、そのひとつは「大迫力の煙」でしょう。一般的に、上り坂のほうが多く煙や「SLらしい音」が出ることから、それをより楽しみたい場合は、坂を登る方向の列車がオススメです。
またSL列車では、窓が開く場合が少なくありません。窓を開けて乗っていると、煙がほのかに香ってきて、それもまたSL列車の魅力です。
ただトンネルでは、煙が車内に多く入り込んでしまうため、窓はトンネルに入ったらすぐ閉めましょう。言うまでもありませんが、窓から手や顔を出すのは厳禁です。
JR東日本の「SLぐんま みなかみ」や秩父鉄道の「SLパレオエクスプレス」など、多くのSL列車は折り返し駅で、転車台を使いSLの向きを変える様子を楽しむことが可能です。JR北海道の「SL冬の湿原号」に使われるC11形など、バックでもほぼ通常運転が可能なSLもあります。