10時ジャストに発売されるきっぷ
JRのきっぷは、基本的に乗車1か月前の午前10時00分から、全国一斉に発売が開始されます。
たとえば、8月11日に乗車するきっぷは、7月11日の午前10時00分から一斉発売。10月31日に乗車するきっぷは、9月に31日がないため、10月1日の午前10時00分から一斉発売です。

JR東日本の観光列車「サフィール踊り子」6人用グリーン個室(Toshinori baba – 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=88921518による)
そのため、寝台特急「サンライズ瀬戸」「サンライズ出雲」や、特急「サフィール踊り子」のグリーン個室といった高い人気を集めているきっぷは、その発売開始のタイミング――乗車1か月前の午前10時00分に、申し込みが殺到します。
なので、そのきっぷがほしい場合は、「自分も発売開始のタイミングで申し込みをする」というのが、入手するための正攻法です。
「10時打ち」はジャストに席を確保
この発売開始のタイミング――乗車1か月前の午前10時00分ジャストにきっぷを発券してもらえるよう、JR駅の「みどりの窓口」(JR東海の駅では「JR全線きっぷうりば」)で申し込むことを、俗に「10時打ち」といいます。
午前10時00分より前にJR駅の「みどりの窓口」へ行き、申込書に記入、窓口の係員にそれを渡して事情を伝え、機械(マルス端末)へ必要な情報を入力してもらったうえで、午前10時00分ジャストに発売されるのと同時に希望の席を確保、発券してもらう、という流れです。
インターネット予約では難しい「10時打ち」
JR駅の「みどりの窓口」でも、JR東日本「えきねっと」、JR西日本「e5489」、JR九州「インターネット列車予約」といったJRのインターネット予約サービスでも、きっぷが発売されるタイミングは乗車1か月前の午前10時00分と、一緒です。
そのため、JRのインターネット予約サービスを使っても「10時打ち」ができそうですが、実際は「弱点」があります。
インターネット予約の「弱点」
JRのインターネット予約サービスでは、午前10時00分になってから予約に必要な情報が入力できるようになり、それから申し込むため、実際に席を確保するタイミングが、午前10時00分ジャストより遅くなってしまうのです。
対しJR駅の「みどりの窓口」では、午前10時00分より前に必要な情報を入力できるため、午前10時00分ジャストに席を確保できます。
旅行会社で「10時打ち」できる?
JRのきっぷは、おもな旅行会社の窓口でも購入できます。発売開始のタイミングも、JR駅の「みどりの窓口」と同じです。そのため旅行会社の窓口で「10時打ち」は、不可能ではありません。
しかし、旅行会社の窓口は午前10時00分だと営業時間前なことが多いほか、その営業所の窓口でJRのきっぷは扱っていても、ただちに空席を確保しきっぷを発券できる設備がない場合があります。
また旅行会社は、そもそもJR駅の「みどりの窓口」とはシステムが異なり、席を確保するタイミングがどうしても遅くなることがあるようです。
指定席券売機でも困難な「10時打ち」
JR駅には指定席券売機が設けられている場合がありますが、そこでの発売は乗車1か月前の午前10時10分からと、遅いです。購入できるきっぷにも制約があるため、競争率が高いきっぷの購入に、駅の指定席券売機はおすすめできません。
JR西日本の「みどりの券売機プラス」など、オペレーターと通話しながら購入するタイプの指定席券売機では、「10時打ち」が可能なこともあります。
ただその場合も、事前に事情を話して「10時打ち」してもらうことは困難。券売機を通してオペレーターと、ちょうど「10時打ち」のタイミングでつながり、午前10時00分ジャストに席の確保をしてもらえれば、可能なことがあるようです。
「事前申し込み」は逆に遅い?
JR東日本「えきねっと」、JR西日本「e5489」、JR九州「インターネット列車予約」といったJRのインターネット予約サービスでは、乗車1か月前の午前10時00分より前に、きっぷを事前申し込みできます。
しかしその場合、逆にJR駅の「みどりの窓口」で行う「10時打ち」より、席を確保するタイミングが遅くなりがちです。
きっぷを手配するタイミングは同じ
JRのインターネット予約サービスでは、乗車1か月前のさらに1週間前から、事前申し込みできます。
しかし実際にきっぷの手配をするのは、通常通り乗車1か月前の午前10時00分がスタート。そのタイミングから順次、きっぷを手配していく仕組みです。
よって事前申し込みが多い場合、きっぷの手配に入るタイミングが、午前10時00分からだいぶあとになる可能性があります。
でも「保険」にはなる?
ただ、事前申し込み数が少なかったり、きっぷ手配の順番が早かったりすると、希望の席をとりやすくなるのも事実。「10時打ち」の「保険」として申し込んでおくのは、アリかもしれません。
重複してきっぷがとれた場合、キャンセル料を考える必要が出てきますが……。
JRのインターネット予約サービスにおける事前申し込みとその活用法、要注意点について、詳しくは次のページをご覧ください。
実はツアー(旅行商品)が楽?
人気列車に乗る方法として、「ツアー(旅行商品)の利用」も注目です。
JRのきっぷは、「一般枠」と別に「団体枠」が設けられている場合があります。そのため、ツアー(旅行商品)を購入するほうが、人気列車へかんたんに乗れる可能性もあるのです。
- クラブツーリズム「鉄道の旅特集」
- 「観光列車の旅」「寝台列車の旅」「新幹線の旅」など、人気列車に乗るツアーが多数あります。
近畿日本ツーリスト「観光列車・寝台列車の旅特集」
- 列車と宿泊をセットにして、お得に予約可能。寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」のフリープランも。
- JR東日本ダイナミックレールパック
- 東日本・北海道エリアの移動におすすめ。新幹線や特急列車、宿泊をセットにし、お得に予約できます。
実際に「10時打ち」する方法
公式サービスではない「10時打ち」
「10時打ち」は、JRが公式に行っているサービスではありません。そうしてもらえないかと、「お願い」するたぐいのものです。
そのため、「10時打ち」はかんたんにできなくて当たり前、できたらラッキー、と思っているぐらいが、気持ち的に楽かもしれません。
ではどうするか?
JR駅の「みどりの窓口」で「10時打ち」してもらうには、たとえば乗車1か月前の午前9時57分に「みどりの窓口」係員に申込書を渡し、どうしてもほしいので10時ちょうどに手配してもらえないか、とお願いすれば、「10時打ち」をしてくれることが多いでしょう。
ただ混雑時はNGの可能性があるほか、そもそも混雑時に「3分前」といったちょうどいいタイミングで申込書を窓口の係員に渡せるか、という懸念があります。
また、駅によっては「10時打ち」自体を受け付けていない場合もあり得ます。
「10時打ち」を受け付けている駅も?
ネット上には、駅によっては非公式に「10時打ち」の申込みを受け付けている、という情報も見られます。実際、特に過去には、早朝から「10時打ち」の申込みを受け付けている駅がしばしば存在していました。
またネット上には、「10時打ち」をやってくれるかどうか、駅や係員によって対応が分かれるような情報も見られます。
時間に余裕を持って「10時打ち」
非公式サービスであり、明確な情報が乏しい「10時打ち」。
そのため「10時打ち」してもらうためには、まずJR駅の「みどりの窓口」へ時間に余裕を持って行き、相談するとよいかもしれません。発売日より前の日に行って、相談するのもアリです。
「10時打ち」の可能性を上げる方法
あくまで「10時打ち」は非公式のサービスであるため、JR駅の「みどりの窓口」へ行くときは、混んでいる駅やタイミングを避け、複数の窓口がある駅を選ぶのがよさそうです。
空いていれば、係員も相談にのってくれやすいでしょうし、窓口が複数あれば、時間をとって「10時打ち」に対応してくれる余裕が駅にあるかもしれません。
「10時打ち」失敗でも諦めるのは早い?
もし「10時打ち」に失敗しても、きっぷ入手のチャンスがなくなったワケではありません。
キャンセルが出ることが、珍しくないからです。
きっぷには、「キャンセルが出やすいタイミング」もあります。詳しくは次の記事をご覧ください。