大きく2種類あるJRのきっぷ
JRの通常のきっぷは、「乗車券」と「料金券」の大きく2種類に分かれています。
「乗車券」は、いわゆる「ただのきっぷ」です。A駅からB駅までの乗車券を買えば、A駅からB駅まで列車に乗って移動できます。また、乗車券の金額を「運賃」といいます。
ただ乗車券だけでは、普通列車(快速列車を含む)の普通車自由席にしか、乗車できません。
なお「普通車」とは、特別な設備があるグリーン車や寝台車などに対して、そうした設備がない「普通の車両」のことです。
料金券は「オプション券」
乗りたい列車や車両が「普通列車(快速列車を含む)の普通車自由席」であれば、必要なきっぷは乗車券だけです。
しかし、その条件にあう観光列車は少ないです。多くの場合で、乗車券とあわせて特急券、グリーン券といった「料金券」が必要になります。
料金券は、いわば「オプション券」のようなものです。
一番ランクの低い列車、車両しか使えない乗車券に、特急券やグリーン券といった料金券(オプション券)を追加することで、いろいろな列車、車両が使えるようになります。
2タイプに分かれる料金券
JRの料金券は、「『列車の種類』による料金券」と「『列車のサービス』による料金券」の2タイプに分かれます。
「列車の種類」による料金券
- 特急券
- 特急列車へ乗車したい場合に必要。指定席の効力を含む「指定席特急券」と、含まない「自由席特急券」があります。
- 急行券
- 急行列車へ乗車したい場合に必要。指定席の効力は含まないため、普通車指定席を利用したい場合は、指定席券も必要です。
「列車のサービス」による料金券
- 指定席券
- 急行列車、もしくは普通列車(快速列車を含む)の普通車指定席を利用したい場合に必要。
- グリーン券
- グリーン車(グリーン個室を含む)を利用したい場合に必要。通常、グリーン券には指定席の効力が含まれていますが、含まない自由席グリーン券もあります。
- 寝台券(A寝台・B寝台)
- 寝台車(個室を含む)を利用したい場合に必要。指定席の効力が含まれています。
列車へ乗るにあたって、どんなきっぷが必要か――。乗車券は必須なので、それにくわえて、どの種類の列車の、どの種類の車両を利用するのかを考えると、必要なきっぷが分かります。
きっぷはだいたい2枚
きっぷは、乗車券と料金券が一緒になって1枚で発売されることもありますが、観光列車を利用する場合は一般的に、乗車券が1枚、料金券が1枚、あわせて2枚という組み合わせで発売されます。
たとえば特急列車の寝台車を利用する場合、料金券は特急券と寝台券の2枚になるのではなく、「特急券・寝台券」という1枚の料金券になるのです。
きっぷの種類がいろいろあって大変そうですが、そう細かく覚える必要はありません。
実際に、JR駅の「みどりの窓口」や、JRのインターネット予約サービスできっぷを買うとき、「乗車券と特急券と寝台券をください」と伝えなくても、「○○駅から××駅まで、△月□日の寝台特急『◎◎』で」と伝えたり、入力すれば、必要なきっぷを手配してくれます。
きっぷの料金は何で変わる?
きっぷの料金は、「乗車する距離」で変わる場合があります。
乗車券、特急券、急行券、グリーン券は、乗車する距離が長くなるほど、高額になります(乗車券以外は上限料金あり)。
ただ寝台券、指定席券は、乗車する距離にかかわらず金額は一定です。1回の利用あたりいくら、という料金体系になっています。
「ゾーン制」になる場合も
また乗車券は、発駅や着駅によって、「東京都区内から大阪市内まで」というきっぷになる場合があります。
この場合、東京都区内ゾーンから大阪市内ゾーンまでだったら、どこの駅から乗って、どこの駅で降りても、東京駅から大阪駅までの距離に応じた金額にするよ、というものです。
割引きっぷを使いたい場合は
割引きっぷには、効力が異なるさまざまなきっぷがあります。
そのため、一概にはいいにくい部分もありますが、大きく分けて「『お得な乗車券』として効力を発揮するもの」と、「『お得な乗車券&料金券』として効力を発揮するもの」があります。
「お得な乗車券」として効力を発揮するもの
「青春18きっぷ」などがこの種類です。普通列車(快速列車を含む)の普通車自由席に乗り放題で、指定席を使いたい場合は、別に料金券(指定席券)も購入する、という形になります。
「お得な乗車券&料金券」として効力を発揮するもの
JR四国の「四国グリーン紀行」などがこの種類です。普通列車(快速列車を含む)の普通車自由席はもちろん、特急列車、グリーン車、普通車指定席も、料金券の追加なしで利用できます。
割引きっぷには制約も
割引きっぷには多くの場合、なんらかの制約があるため、注意が必要です。
「青春18きっぷ」は、特急券を追加で購入したとしても、特急列車には乗車できません(その場合、「青春18きっぷ」の乗車券としての効力がなくなり、乗車券も必要になる)。
「四国グリーン紀行」も、寝台特急「サンライズ瀬戸」は利用できないほか、観光列車「伊予灘ものがたり」のグリーン個室を利用したい場合は、乗車券部分のみ有効になります(別に特急券、グリーン券が必要)。
子どもの料金は?
JRで子ども(小児)料金が適用されるのは、小学校入学年の4月1日から卒業年の3月31日まで、です。入学式の前でも、卒業式の後でも、その期間内であれば子ども料金が適用されます。
子ども料金が適用される場合、乗車券、特急券(指定席・自由席)、急行券、指定席券が、大人料金の半額になります。10円未満の端数は切り捨てです。
ただ子ども料金が適用される年齢でも、グリーン券、寝台券は、大人も子どもも同額です。
小学校入学前の未就学児は、大人もしくは子ども1名につき2名まで、料金不要で同行できます。ただし、未就学児でも指定席を1席利用する場合などは、子ども料金が適用されます。
お得なきっぷの子ども料金は、通常なきっぷと同様に半額の場合もあれば、特別な設定になっていることもあります。たとえばJR東日本の「週末パス」は、大人8880円に対し、子どもは2600円と、大幅に安いです。
「必要なきっぷ」早見表
乗りたい列車がどんな列車かによって異なる、必要なきっぷ。その早見表です。
- 普通列車(快速列車を含む)の普通車自由席
- 乗車券
- 普通列車(快速列車を含む)の普通車指定席
- 乗車券、料金券(指定席券)
- 普通列車(快速列車を含む)のグリーン車
- 乗車券、料金券(グリーン券)
- 急行列車の普通車自由席
- 乗車券、料金券(急行券)
- 急行列車の普通車指定席
- 乗車券、料金券(急行券・指定席券)
- 急行列車のグリーン車
- 乗車券、料金券(急行券・グリーン券)
- 特急列車の普通車自由席
- 乗車券、料金券(自由席特急券)
- 特急列車の普通車指定席
- 乗車券、料金券(指定席特急券)
- 特急列車のグリーン車
- 乗車券、料金券(特急券・グリーン券)
- 特急列車の寝台車
- 乗車券、料金券(特急券・寝台券)